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ある夏のホラーゲーム(黒の十三)

2024/07/193
夏はホラーゲームがやりたくなる!
もうすぐ夏も終わりの気配だけれど
今年もやってきた衝動に身を任せ、
『黒の十三』をやってみました

先日コメントでゲームネタも~と
言われたけれど、果たして23年前の
PSのゲーム紹介の需要があるのか
解りませんが書き残しておきます。
作家綾辻行人氏監修のサウンドノベル。
物語は全部で13あって全て『恐怖』を
テーマにしてます。読み終わって胃の
辺りが重くなるような後味の悪い話が
多く、いわゆるハッピーエンドとは
真逆の結末を迎えるシナリオが多い。

▽恐怖のシステム回り▽

システム面はダメダメで文章の
スキップはないし、セーブも
限られた場所でしかできない。
(選択肢の場面と物語クリア時)

ログも選択肢までは読み直せるけど
選択肢以前のものは全く見れない。
なので、選択肢選んだけどその前の
繋がりを再確認する事はできないし、
もしもボタン連打などして選択肢で
セーブせずに進んだらもうヤバイ。

なんで不味いかと言うと、このゲーム
途中出てくる3つの選択肢のうちの
2つを選ぶと即ゲームオーバーなのだ!
(斬新な即死系アドベンチャー)

だからゲーム内でも選択肢での
セーブは推奨されてるんだけど、
選択肢の度にセーブするのは
実際やってみるとテンポ悪い…

ちなみにゲームオーバーになると
本(黒の十三)が凍ったり、斧で切られる
ムービーが流れるんだけど、なぜ
そんな事になるのかの説明はなし。

例えば(実際にある)切断された手首が本を
動かすムービーなら怖いなとも思うけど、
斧で切られたかと思ったら本の実態が
ないなんて物もあってもはやワケワカメ。

意味が分からんのになぜか種類も
豊富でいくつも観たけど全部観たのか
自信はありません。それぐらい多い。
力の入れようを感じたけど、こんな所より
システム面に力を入れて欲しかった(笑)

▽感想(ネタバレあり)▽

全13のシナリオで1つの物語だいたい
30分~2時間程度で読み終わる。
オムニバス形式でまず4つのシナリオが
出てて、それを全部クリアすると
4つずつ新たにシナリオが追加され
12個のシナリオ全てをクリアすると
最終的に綾辻行人氏のお話が読めます。
以下、遊んだ順に感想。
()内はライター名

-仮面-(井端純子)

鉄橋を遊ぶまでは黒の十三の中で
一番ひどいシナリオだと思ってた。
子供の頃よくお母さんに言われた
「夜起きてると〇〇が来るよ」

ここだと顔に仮面をつけた仮面人が
来るよと脅されるのだが、実は母は
おろか父も友達もはたまた自分も
正体は仮面人だったという話。

ギャフンと言いたくなった

-運命の扉-(火鳥一人)

子供時代のイタズラが元で運命から
逆らえなくなるお話。ゲーム内
最長の長編で子供時代と大人時代の
話が徐々に語られていく。2つの話は
別々のストーリーかなと思ったら
繋がっててゾクリとする。子供の頃なら
誰もがしてしまいそうな意地悪が元で
運命の輪に閉じ込められる様が怖い。

-ラミア-(福田正吾)

願いを叶えてくれるビデオゲーム
「ラミア」病気の母をもつ女の子が
お母さんの病気を治してとラミアに
頼むと入院してた母は完治して退院。

お母さんが治ったと聞き病院から
喜んで少女が家に戻ると…。母が強盗に
襲われて死んでいた。再びラミアに
頼みお母さんを行き帰らせると…

そこにはゾンビと化した母の姿が!

脳みそは腐り肉体も溶けているのに
娘の誕生日を祝おうとする母親の姿と、
そんな変わり果てた姿になっても母親と
これからも生活して行こうという
子供の姿が泣ける。その折、母は
溶けてなくなってしまい、どう転んでも
救えなかった。ただただ切ないお話。

-雨に泣いている-(早見裕司)

かまいたちの夜2の底蟲村編に似てる。

雨の降る夜にカップルが奇妙な生き物を
発見保護する。しかし見てるとなぜか
無性にその生き物を食べたくなる。

彼氏に内緒で彼女がその生物を口にすると
人ではなくなってしまい、もう一緒に
暮らすことは叶わなくなってしまう。

人でなくなり太陽の光を浴びられない
身体になってしまい雨の降る夜にだけ
彼女が家の窓の前まで来る姿が哀しい…

-節制-(中村育広)

一人暮らしの大学生。身に覚えのない
食費に憂い、安いカップラーメンだけを
食べる生活を続けると栄養が摂れずに
日に日に痩せ細り、次第に骨と皮になり
最終的に肉体は消滅(透明人間)する話。

ちなみに身に覚えのない食費は
他の透明人間に食べられてたから。
なんじゃそりゃ

-女嫌い-(早見裕司)

女嫌いの男が老婆が出てくる悪夢に
悩まされる。女を寄せ付けない彼に
唯一親身になって聞いてくれる女が。

夢の老婆の正体を突き止め老婆からも
男を守ろうとする彼女。何でそんな
自分に親身にしてくれるのか?と
聞くと『アナタの事が好きだから』と
このゲームらしくない甘い展開が!

と、思われたがフタを開けてみると
女嫌いの男は老婆が作り出した物で、
老婆が生きるためのエサの若い女を
引き寄せるための存在だった…

プロポーズからの闇が深い作品

-羽音-(Toriko.今橋)

ゲーム史上最悪のシナリオと言われる
お話で、高校生の女の子がいじめに
合うんだけどとにかく救いがない。

もう最初から最後まで報われない

-今昔鬼譚-(井端純子)

友達のいない男の子が最近できた友達を
連れて村の爺さんの所で昔話の密室殺人の
話を聞くのだけど、ちょっと趣向が違い
この作品は推理寄りで、3人の中の誰が
殺人をしたのかと悩まされるのですが…

矛盾を解消していくと犯人は
話してる爺さんじゃないか?と
思うんだけど、実は犯人は
男の子が連れてきた友達で
爺さんを殺して消えてしまう。

このゲームに有りがちだけれど、
一人ぼっちになってしまった
男の子が可哀想。

-殺し屋-(中村育広)

実は既に死んでいた殺し屋のお話

-彼女の図書館-(早見裕司)

人間嫌いでどこにも自分の居場所がない
女の子。登校拒否気味のなか偶然見つけた
町外れの図書館の手伝いを始めると、
石像が動いたり奇妙な出来事に遭遇する。

怪異のいる図書館での日々を元に
彼女の心の成長を描いた作品。実は
ハートフルな一面も。このゲーム内での
唯一のハッピーエンドになっている。

-RUNNER-(伊藤慎二)

深夜の峠を車で走行中、サラリーマンと
おっぱいを吸わせようとする婆さんに
追いかけ回される話。ある意味ホラー

-闇に舞う雪は-(小峠敦郎)

妹を自殺で亡くした兄が、妹を絶望に
追いやった男の参加するバスツアーへ
参加し、わずかな手掛かりを頼りに
男に復讐しようとするが…

実は妹が好きだったのは会社の同僚では
なくて、兄弟としてじゃなく男性として
兄を好きだったというお話。そうとは
気がつかずに兄は婚約の話を妹にし、
妹は自殺してしまうのですが…切ない。

-鉄橋-(綾辻行人)

大トリは綾辻行人さんの作品だが
恐ろしい顔をした女が出てくるだけ。
これが黒の十三の中で一番つまらない!

それなのにここまで進めると今までの
物語が一切読めなくなるという謎仕様

セーブデータを変えれば平気だけど、
面白くないシナリオしか読めなくなる。
話の内容よりこれが一番のホラーかも…

▽総評▽

システム面はお世辞にも褒められた
ものじゃないしストレスが溜まる。
(初期のPSでロードも早くない)
お話も当たりハズレが激しく取って
つけたようなバッドエンドも今一。

(バッドエンド例)
殺された~なら納得だけど寝たとか
トイレが間に合わず漏らして終わる。
なんて超絶テキトーなのもある。

悪い部分も多く目についた本作
だけど自分はこのゲームが好きです。
複数の書き手が参加してて、色々な
種類の恐怖の形が見れたのが良かった。

特に『羽音』はゲーム史上最悪の読後感で
鬱シナリオなんて言われてるけれど、
鬱とか越えてると思う。もはや救いが
ないのが救いなのでは?とさえ感じる。
(なんのこっちゃ)

なんて言いつつ自分が一番好きだった
シナリオは『ラミア』だったけど。
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