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縞模様のパジャマの少年

2021/06/06
台風一過でまた夏のような暑さに
逆戻りの湘南よりこんばんは。
以前オススメされた映画をやっと
観れたので、感想を書いてみるよ。

『縞模様のパジャマの少年』

監督: マーク・ハーマン

出演: エイサ・バターフィールド
  ジャック・スキャロン
  アンバー・ビューティー

製作: イギリス・アメリカ(合作)

前にブログ友達のMKさんが推してた
映画で、ホロコーストが絡んだ物の
中でもタイトルに"パジャマ"と付くし
少年物?なら爽やかに観れるだろうと
思って観てみたのだけれど、自分の
想像とはもう真逆の内容だった…

夏はホラーゲームがやりたくなるとか
言ってる僕だけど、この映画の方が
ずっと怖くて、想像を絶する映画の
ラストシーンでは放心状態でした。

第二次世界大戦下、8歳の少年ブルーノは
ナチス将校の父の栄転で母、姉と共に
ベルリン郊外に引っ越すことに。

ベルリンでは友達もいっぱい居て
楽しい毎日を送っていたブルーノ
でしたが、外には遊びに行けないし
学校にも行かせてもらえない(ナチス
至上主義の家庭教師は来る)し、と
楽しかった日々が一気に地獄に。

裏庭に行くのも禁止で退屈な日々を
送るブルーノ。こんな世界が好奇心
旺盛な8歳の子供に我慢できる訳も
なく、母親の言いつけを破って
裏庭に入り納屋の窓から家の外へ
そして裏の林に行ってしまいます。

窮屈なつまらん家という世界から
開放的な自然の中を走り回るブルーノ。
楽しそうで観てる自分まで嬉しく
なっちゃうシーンなのですが、林を
抜け小川を越えると見たことない
世界がそこにはまた広がってて…

不自然な有刺鉄線にその先で座り
込んだ薄汚れたパジャマを着た少年。
鉄線の先は強制収容所でパジャマと
思ったのは囚人服なのですが、
ブルーノはそんな事は知りません。

やっと会えた同い年の友人が嬉しくて
毎日親の目を盗んで縞模様のパジャマの
少年シュムエルに会いに行くブルーノ。
有刺鉄線越しに友情を育みます。

「コトラーの危険さに狂う」


父親の部下であるコトラー中尉が
本当に怖くて、いくつかあるこの
映画のトラウマの一つだ。
「ユダヤ人は燃やすとより臭い」
なんて発言もそうだけど、
こいつを怒らせたらヤバイぜ?って
臭いがプンプン。狂気を感じる目で
初登場時から悪い意味で目を奪われた。

でも顔は良いから12歳のブルーノの姉も
同じく目を奪われちゃって…。好きだった
人形遊びを卒業して部屋にはナチスの
プロパガンダ用のポスターがズラリ!

恋心で思想を誘導されちゃうなんて
恐ろしさを感じた。12歳の恋なんて
初恋なんじゃ?コトラーというか
当時のナチスの有り様が怖い…

「裏切りから悲劇の結末へ」


収容所からブルーノの家に食器磨きの
手伝いでシュムエルが来て、喜んで
お菓子をあげちゃうブルーノ。しかし、
運悪くコトラーに見つかっちゃいます…

「家の子と口を聞くとは何て奴だ」と
今にも殺されそうな剣幕で迫られる
シュムエル。しかも、咀嚼してるのも
バレて「お前何を食べている?」と。

素直に「ブルーノからもらった」
「僕たちは友達だから」と答えると
コトラーの怒りの視線はブルーノへ。

もうね、大人の自分でも耐えられない
怖さのコトラーの問いにブルーノは
「こんな子知らない」「お菓子も
あげてない」と裏切っちゃうんだよね。
(シュムエルは厳しい折檻を受ける)

ああ…と悲しくなるシーンだけど、
ブルーノも友達を裏切ったことで
悲しんで泣いてしまう。後日反省して
シュムエルに会いに行って和解して
よかった~!と思ったけど、むしろ
和解しなかった方が良かったなんて…

シュムエルがある日収容所内で家族が
いなくなったと言うのですが、父親の
観ていたナチスの啓発ビデオを信じ、
収容所内はステキな場所と思い込んだ
ブルーノは家族を一緒に探してあげる。
と、引っ越しの日に家族の目を盗んで
収容所へ侵入してしまいます。

中に入りカフェもないし、ブルーノも
あれ?違うな?と「やっぱり帰りたい」と
口にするのですが、それでも帰らずに
勇気を出して探し続けたのは一度
友達を裏切ってしまったからだと思う。

しかし、僕の予想は収容所に入って
ユダヤ人がひどい仕打ちをされてる
場面を見て父親のやってる事を思い知る。
なんて物だったけど甘すぎる予想で、
本当の結末は悲惨すぎて口に出すのも嫌。

(それぐらい惨たらしいものです…)

ただ、最後に二人が手をぎゅっと繋ぐ
シーンは救いでしょうか。観賞後、
魂が抜けてセミの脱け殻のように
なった夏の終わりの映画鑑賞でした。

この映画の自分が思う良かった所に
当時のドイツ人はユダヤ人を人とも
思ってなかったと僕は思ってたけど、
この映画を観るとニュートラルな思考の
人も居たんだなと感じる。ブルーノの
父親の母やブルーノの母などはそう。

粗相をしたとしてユダヤ人に過剰な
制裁をくわえるシーンでも止めてと
訴えてたし、ユダヤ人でも良い事を
されたらきちんとお礼を言ってたし。

収容所の事をブルーノに教えなかった
事が一番の悲劇に繋がった訳だけど、
母親はブルーノに反ユダヤ主義を
教えたくなかったんだよね、きっと。

縞模様のパジャマの少年
オススメはし難い
でも見るべき映画でした
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